むすこのタオル

2015年6月1日
*by: | *cat: 子供たち

私がむすこと出会ったのは、彼が3歳になる少し前のこと。

今、むすめがちょうど同じ年頃になっているので
むすめを見ながらよく「こんなに小さかったっけなぁ」と思います。

おむつが外れたばかりで、
おしゃべりはけっこう達者で、
歩き疲れるといつもおとうちゃんにかたぐるまをしてもらっていた。

まるっこくてかわいい幼児だったむすこが、
あっという間に手足のすらっとした生意気な少年になりました。

当時、おとうちゃんはどこに行くにも
よれよれのハンドタオルを数枚持って行っていました。

むすこはこれを口にくわえないと眠れませんでした。
角っこからギュウギュウと口に詰めこまれるハンドタオル。
時々向きを変えて、四隅全部がびしょびしょになったら新しいのに替える。
朝起きて、べたべたのタオルを布団の中から探して
洗濯カゴに放り込むのが日課になりました。

私と2人の弟妹にはそんな習慣がなかったので
最初は不思議に思いましたが、
これがないと眠れない、というものがある子どもは
けっこう多いことを知りました。

おかあさんのシャツだったり、おしゃぶりやぬいぐるみだったりとモノは色々で
中には大人になってもずっと持っているという人も。

うっかりタオルを持たずに誰かの家に泊まることになった夜は
何時間も眠れないこともあったむすこ。

いつかはやめさせた方がいいよなぁと思いながらも、
おかあちゃんを亡くした寂しさを
このタオルがほんの少しでも埋めているのかもしれない
と思うと無理矢理やめさせるのも気が引けて、
妹ができても4歳になっても、むすこはタオルをくわえて眠っていました。

そして、年中クラスになった春、機会が訪れました。
保育所の合宿です。

「合宿で恥ずかしいし、タオルなくても眠れるようになろか」と言うと
「あしたからやめる」と決意。

やっぱり心細かったようで
暗い中ごそごそとタオルを取りにいって眠る日が何日か続きましたが、
合宿前には無事卒業し、それ以来タオルをくわえることはなくなりました。

今でもタオルハンカチを見ると、
口をもぐもぐしながら布団に入っていたむすこを思い出して懐かしくなります。

ずっと捨てられずに置いてあったたくさんのタオル。
今は、小学生になったむすこの給食用ハンカチになりました。

洗濯しているとはいえ毎晩よだれでベトベトになっていたものを
使わせるのはどうかなぁと少し迷ったけど、
おとうちゃんに相談したら「捨てよう」と言われるのが目に見えていたので
しれっと置いておくことに決めました。

長い付き合いやね。これからもよろしくね。

2015年6月1日(月) おかあさん

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