お産のこと

2015年6月12日
*by: | *cat: 出産

3度目にして初めて、院内助産での出産ができることになりました。
定期健診や出産に医師が立ち会わない、助産師さんとのお産。

今更ながら、初めてお産にしっかり向き合えたように思います。

といっても、妊娠中は日々の生活に追われて院内助産の説明会にも行けず、
助産師さんに教わった身体を冷やさない食事や生活習慣もさぼり続けてしまいました。

お産についてじっくりと考えるきっかけをくれたのは1冊のノートでした。

出産翌日、助産師さんから
「どんなことでもいいから書いてね」と大学ノートを渡されました。

助産師外来の待ち合い室に置いてあったのに一度も読んだことがなかった
院内助産で出産したお母さんたちの体験記。
病室のベッドに寝ころび、すやすやと眠る赤ん坊の隣で一気に読みました。

そこには、お母さんたちの感動と感謝が溢れんばかりに詰まっていました。
「私も、もうちょっと色々考えておけばよかった!」と、
まさか、産んだ翌日に思うことになるとは。
それくらい、皆さんの意気込みやこだわりに衝撃を受けました。

そして、以前の出産に後悔やトラウマがあるという人も少なくないことを知りました。
病院で弱い陣痛が続き、よくわからないまま陣痛促進剤の投与や会陰切開をすることになった方の

「『産んだ』というより『産まされた』出産でした」

という文字には何ともいえない重みがありました。

(安全に産むための処置として、促進剤や会陰切開自体が良くないとは思いません。)

私にとっても、院内助産でのお産は
これまでの出産よりも味わい深いものでした。

これまでの出産に不満があるわけでは全くないのですが、
健診の時も分娩の時も、言われるがまま、されるがままで
何も自分で考えたり感じたりしていなかったなぁと思います。

今回のお産は、助産師さんに導いてもらいながら
身体の中の赤ちゃんをしっかり感じることができました。

妊娠中に、「バースプラン」という紙を病院からもらいます。
どんなお産にしたいかという希望を書くのですが、
私は家族の立ち会いくらいしか考えたことがありませんでした。

体験記を読んだ後、
世のお母さんたちはどんなことを書いているんだろうと調べてみると、
想像もしなかったような希望がたくさん!

四つ這いで産みたい、和室で産みたい、会陰切開はしたくない、
夫にはこのタイミングで入ってほしい、へその緒がついたまま抱っこしたい、
はたまた、この音楽をかけてほしい、などなど……

3回も出産した後にやっと「そんなこともできるんや!」
と気付いた自分のまぬけっぷりに呆れました。

お産当日まで分娩台で寝て産むものだと思い込んでいて
四つ這いや立て膝での出産なんて考えたこともありませんでした。
(多分、説明会に行けばこのあたりの話も聞けたんだと思います。)

そんな私ですが、お産はとてもスムーズに進みました。

21時頃、子どもたちが眠った直後に破水。
子どもたちが起きていたら間違いなく大騒ぎになっていたので、
ちゃんとタイミングを見計らってくれたんだなぁと感心しながらおとうちゃんと病院へ。
陣痛はあるものの、あまり強くなる気配がなかったので
病室でTVのお笑い番組を見てげらげら笑うおとうちゃん。

朝までに産まれるかもしれないということで
夜中におとうちゃんがむすこを連れてきて、
むすこは羊水で濡れたシーツの上で私の腕枕で寝ていました。

おとうちゃんも畳の上で爆睡。
定期的に様子を見に来てくれる助産師さんが通りにくそうで申し訳ないなぁ
と思いながら、いまいち盛り上がらない陣痛と共に夜を明かすことに。

窓から朝日が差し込み、むすこが「がっこういきたい〜」と言い出した頃、
痛みが強くなってきた。
経産婦なので、そうなると早いものです。

今回は和室での分娩。
バランスボールを抱え込んだり座ったり
陣痛中は自然と自分が楽な体勢をとることができました。
これまでの2回は陣痛中ずっと寝てたけど、こっちの方が楽やん、とここでまず気付く。

そして、助産師さんが休むことなくしてくれた
腰のマッサージとおしりの圧迫がもう素晴らしくて。本当にありがたかったです。

赤ちゃんに酸素がいくように、ひたすらフーフー深呼吸。
口を開けてTVを見ているむすこ。
おなかを撫でて「がんばれー」「早く出ておいでー」と声をかけてくれるおとうちゃん。

痛みで会話をする余裕もなくなってきた時、助産師さんに聞かれました。

「どうやって産む?」

「え、どうしよう!」(全く考えてなかった!)

「どうしよっか。四つ這い?横向き?」

結局、次女の時と同じ、横向きに寝た体勢で産むことに。
今となっては四つ這いに挑戦しておけばよかったと思うのですが、
その時はそんな余裕があるはずもなく。

3回めで慣れているし、痛みも初産より随分ましだということもあり、
赤ちゃんが下の方におりてきて痛みの場所が変わっていく感覚、
頭が出て、肩、腰がずるずると身体から出ていく感覚をしっかり味わうことができました。
一回出た頭が引っこんだのもよくわかった。

8時前に、三女誕生。

会陰の傷もなく、出血も少なく、
「上手に産んだね、申し訳ないくらい何の処置もしてないよ」と褒めてもらいました。

助産師さんがむすこに「へその緒切る?」と聞くと
「いやや」と即答されたので、おとうちゃんに切ってもらうことに。
へその緒でまだ繫がっている赤ちゃんをまじまじと見ることができました。
ほんまに繫がってる。
当たり前に知っていたことだけど、改めて実感しました。

胎盤と羊膜も裏側や中までじっくり見せてもらい、
この中にぷかぷか浮かんでたのかぁ
このでろでろが赤ちゃんを育ててくれたのかぁ
と、いちいち感心。

終わってみるとあっという間でした。

1時間もすると、おばあちゃんと妹がむすめ2人を連れてきてくれ、
私の母も到着。6畳の和室がパンパンに。
朝ご飯に買ってきてもらったパンを皆で食べ出して、もう大騒ぎ。

何はともあれ、元気に産まれてくれてよかった。
そして、いいお産だったと心から思えることに感謝です。

妊娠中も、院内助産にしてよかった、と思うことがたくさんありました。

助産師さんの定期健診では、エコーで胎児を見ることはありません。
そのかわり、自分の手をおなかに当ててもらいながら
「ここに肩があるね」「これが頭」と教えてもらいました。

不思議なもので、画面に映し出された白黒の胎児が動く様子よりも
手で触れた堅さの方が赤ちゃんの存在を感じさせてくれました。

食事のこと、家族のこと、身体のことなど、
助産師さんと色んな話をしてとても楽しい健診でした。

妊娠9ヶ月で突然40℃の熱が数日続いた時も
点滴に通う度に院内助産チームの助産師さんが声をかけてくれました。
おとうちゃんは子どもたちを連れて実家に泊まっていたので、
一人ぼっちのゴールデンウィーク。
顔見知りの助産師さんの笑顔にどれだけ救われたか。

助産師さん、すごい仕事です。
痛みに耐える母たちを明るく励まし続け、日々命と向き合う仕事。
かっこいい。

そして、あと6ヶ月もたたないと寝返りすらできない
この頼りなくてかわいい子が、
よくあんな狭いところから頑張って出てきたなぁ。

これから産む皆、がんばれー!

私は3回も出産したのに、知らないことがたくさんありました。
「もっとちゃんと考えておけばよかった!」と産んだ後に思ったから、
これからお母さんお父さんになる人たちに伝えたいと思いました。
場合によっては本当に命懸けの出産になることもあるし
思い通りにできるようなものではないけれど、
いいお産だったと思える人が増えるといいなと思います。

バースプランについて調べている時に
赤ちゃんの頭が出てきたらお母さんが脇を抱えて取り上げることもできると知りました。
「やってみたい!」と思ったけど、後の祭り。

もし何かの間違いでもう一度産むことがあれば……
と思ってしまうけど、いやいや、あかんあかん。

2015年6月12日(金) おかあさん

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