絵の贈り物
2010年6月。
まだ梅雨明けしていない頃。
病気のことを知ったおかあちゃんの地元の友達十数人が
おかあちゃんを励ます会をしてくれました。
「なんでもっと早く言ってくれんのやって!!」
「大丈夫やから、がんばろう。」
本当にみんな心から励ましてくれていました。
この頃、既に抗ガン剤の副作用で髪の毛はほとんど抜けていました。
人前で決して取ることのなかったウィッグをはずして
ありのままの自分をさらけ出して楽しそうに
みんなとワイワイしていました。
夜遅くまで続いた励ます会。
ボクは内心ハラハラしていました。
この頃、ほとんど一日中寝てばかりだったのに、この日は夕方から夜中まで
元気に振る舞っていました。ボクはそんなおかあちゃんの体調が心配でした。
みんなに励ましてもらえたのは嬉しかったけど正直落ち着きませんでした。
でも、昔からの気心の知れた友達と過ごす時間。
おかあちゃんにとっては至福の時間だったはずです。
おかあちゃんは特別体調が悪くなることも無く
次の日から励ます会のことを何度も嬉しそうに話していました。
何かお礼がしたいな。
元々絵を描くのが好きだったおかあちゃん。
今までは忙しさで趣味の時間を作れなかった。
でも病気になってからはやりたいことをやると
アクリル画を描き始めました。
励ます会に来てくれた一人一人に贈る。
そう言っておかあちゃんは一所懸命に絵を描き続けました。
みんなへの絵のメッセージ。
この時、体調は悪かったけどまだ全然元気だと思っていた。
みんなに元気と勇気をもらって少しずつ良くなると思っていた。
最期の入院の1ヶ月前の出来事でした。
2013年1月16日(水) ハイブリッドとうちゃん
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