むすこに優しく
意外だと思われるかもしれないけれど、
私はむすこに厳しい。
私の母はなかなか厳しい親だった。
育った環境がそのまま育児のベースになっているので、
私はお菓子やおもちゃにはかなりうるさい。
そこにスパルタ保育所での指導も加わって
気付けば彼の生活は
あれもだめ、これもだめ、こうしなさい、あぁしなさい
ばっかりになっている。
まだ7歳の彼にとって
決まりが多いこと自体が悪いとは思わないけれど、
それを守れない時に私が怒りすぎるのは良くないなぁ。
そんなことを最近しみじみ考えた。
自分が疲れていたりすると特に
小さなことでも許せなくなってしまって
おとうちゃんになだめられることもしばしば。
いつか読んだ本に、
子どもには悪気はない。
いたずらもわがままも、最初から親を困らせてやろうと思ってすることなど
一つもなくて、必ず何か理由がある。
というようなことが書いてあった。
その言葉を思い出しては、
あんなに無邪気なむすこに対して
本気で腹を立てるなんてほんまアホやなぁと自分を省みる。
年末、色々あって落ち込んでいる時に
おとうちゃんにそんな話をすると
「赤ちゃんの時を知らんからかもな」
と言われた。
そうだった。
私はむすこのなんにもできない赤ん坊時代を知らない。
はいはいもよちよち歩きも見たことがないし、
おむつをかえたこともなければ
スプーンでおかゆを食べさせてあげたこともない。
そして、一緒に暮らし始めてたった1年で
彼はおにいちゃんになってしまった。
そのせいで、私は無意識にむすこに対して
“できるのが当たり前”だと思ってしまっているのかもしれない。
そう思うとふっと肩の力が抜けた。
それからはじめて私は、写真やおかあちゃんの日記の力を借りずに
赤ちゃんだったむすこの生活を想像した。
小学生になり妹三人のおにいちゃんになったむすこは
勉強も妹たちの世話も、私の予想以上によく頑張っている。
素直にえらいなぁ、すごいなぁと思う。
だからいくつかある苦手なことくらい、もっと大目に見てやればいいんや。
それに、
急に抱きついてきたり一緒にお風呂に入ったりしてくれるのも
きっとあと数年。
甘やかさせてくれるうちに、もっと優しくしとかな損やわ。
2016年の目標が1つ決まった。
「むすこに優しく。」
私はいつも赤ん坊と次女に挟まれて寝る。
昨夜は赤ん坊がすんなり眠りについたから、
次女の頭の下に腕をもぐりこませて
向こう側にいるむすこの頭をなでてみた。
むすこは私の手を握ってしばらく離さなかった。
言葉も表情もなしに愛情を伝えられるのは
親子だからだなぁと思った。
2016年1月7日(木) おかあさん
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